
【自治体】業務効率化・市民の利便性向上を目的としたkintoneの導入(山口県下関市)
2025.04
導入自治体プロフィール
【総人口】25.5万人
【導入ツール】kintone
【導入部署】希望部署
【導入目的】業務効率化・市民の利便性向上
【導入時期】令和6年6月
【ホームページ】https://www.city.shimonoseki.lg.jp/
情報政策課 DX推進室 堀越さん(左)と水戸さん(真ん中)と濱田さん(右)
ローコードツール導入のきっかけ
下関市行政DX基本方針では、限られた人的資源の中で行財政運営を安定的に維持すると同時に、多様化する市民のライフスタイルに対応した行政サービスを提供するために、積極的なデジタル技術の活用を推進しています。書類の作成・集約・検索などアナログな部分の事務処理に係る負担が多いことから、これを改善して業務の効率化と市民の利便性向上を目指しています。そのため、次を目的としたローコードツールの導入が決定しました。
- 既製システムの調達や外部事業者による開発に代わり、職員様自身によるデジタルを活用した業務改善を可能とすること。
- 庁内でアプリ作成を可能とすることで、新規又は既存システムに係る予算の軽減を図り、年度途中や突発的な制度改正等における速やかな業務のデジタル化に対応できるようにすること。
kintone選定の理由
ローコードツールの中でいくつかのツールの調査を実施し、次の理由からkintoneを選定しました。
1.下関市様の課題への適合性
他自治体の導入実績が豊富で、下関市様での同様な課題解決が多く見込める。
2.導入のしやすさ
基本的にコーディングが不要である。また、取り扱いベンダーが複数社あり、ベンダーによるサポート体制も他製品に比べ充実している。
3.業務への活用のしやすさ
導入事例が豊富かつ、「ガブキン」という自治体職員専用コミュニケーションプラットフォームがあり、アプリの流用が可能。また、作成するアプリに機能を追加することができるプラグインも豊富に提供されている。
参考:ガブキン(行政職員限定コミュニティ会員サイト–Govtech Kintone Community–)
4.導入後のサポート体制
提供元のサイボウズ社、及び販売ベンダーによる研修やオンライン支援が可能。
5.導入実績
全国20,000社以上の導入実績があり、自治体においても北九州市や神戸市等先進的な取り組みの実績が多数。他自治体とのナレッジ共有も可能。中核市調査では、19市導入。(※導入前調査時点)
導入初年度(令和6年度)の取り組み
導入初年度である本年は、次の取り組みを実施しています。
1.kintoneおよびプラグインツール等の導入・構築
高度なセキュリティを維持した行政専用のネットワークである、LGWAN(総合行政ネットワーク-Local Government Wide Area Network-)環境でkintoneを利用できるように構築。
2.kintone利用手順書の作成
業務所管ご担当者様が主体的にkintoneアプリを作成できるよう、下関市のkintone利用手順書を作成。
3.地図表示・連携機能の開発
kintoneおよび連携サービス(kViewer / FormBridge)に地図を表示し、地点を登録できる機能を開発。
4.kintone の基礎知識、操作習得に係る研修
業務所管ご担当者様向けの「導入時基礎研修」および「導入後応用研修」を5回ずつ開催。
5.kintoneアプリ作成支援
業務所管課ご担当者様がkintoneアプリを作成するための支援を実施。また、月に1~2日の頻度で、当社も含めた現地での相談会を開催。
ご担当者様インタビュー
kintoneを導入してよかったと感じたことを教えてください。
水戸さん kintoneは、職員が自分自身の業務を見直すきっかけになっています。業務の見直し(BPR)は、ただ漠然と指示されても、きっかけやツールがなければ難しいものです。「kintoneではこんなことができるから、あの業務に使える」というアプローチができるようになりました。
堀越さん 紙を利用する業務が減ってきています。工事台帳など、今まで紙に書いていたものがkintoneへの入力に代わり、業務のスピードもあがっています。kintoneを使うことで、コミュニケーションが効率化され、業務時間が短縮されました。
濱田さん kintoneは思いもしない業務に使える発見もあり、アプリを作る楽しさもあります。その楽しさから、システムに強くない人でも、楽しく業務効率化に向き合うことができているように思います。
苦労していることを教えてください
水戸さん 情報政策課から各原課へ、どのくらい支援するべきかを見極めることが難しいです。原課が業務の見直しへの1歩目を踏み出した後、2歩目を情報政策課が手助けしすぎると、原課の3歩目が止まってしまうことが多いです。また、情報政策課が作成したアプリは、現場で利用されても、新たな展開を期待できません。支援しすぎにならないよう、関与度を模索しています。
堀越さん 原課に、1歩目を踏み出してもらうことに苦労しています。kintoneは素人でも扱える分、かゆいところに手が届かないと感じる部分もあります。「こうしたいけど、kintoneじゃできない」ではなく、kintoneができることに合わせて業務を変える意識をもち、歩み寄る気持ちで業務改善を進めていきたいです。
濱田さん 庁内でのkintoneの広め方に難しさを感じています。kintone導入から半年以上経ちますが、全庁に広まりきったとは言えません。原課が興味をもっていることに対して、kintoneでアプローチをかけていきたいです。
今後の展望を教えてください。
水戸さん kintoneを横展開するための事例をもっと増やしたいです。他の業務に応用できるような事例を増やし、事例発表会も開催したいですね。
堀越さん 「kintoneで作ってみようかな?」という言葉が、各課で自然と出てくるようになってもらいたいです。そうすると、下関市内での情報共有や情報の一元化も実現できると思います。
濱田さん 全職員がkintoneを利用でき、業務改善のツールとして無くてはならないものと言われるくらいになるといいですね。どんどん活用事例を増やしていきたいと思っています。