【自治体】kintoneでの市民サービスの向上および行政運営の効率化(福岡県北九州市)
2024.11
導入自治体プロフィール
【総人口】91.4万人
【導入ツール】kintone
【導入部署】全庁
【導入目的】市民サービスの向上および行政運営の効率化
【導入時期】令和3年10月
【ホームページ】https://www.city.kitakyushu.lg.jp/index.html
導入のきっかけ
誰もが安心して必要とする行政サービスを受けることができる、市民目線の「デジタル市役所」の実現を目指し、kintoneを導入しました。具体的には、次のような業務改革に取り組んでいます。
1.住民サービスのデジタル化
Webフォームと連携することで、個人・法人の行政手続きをオンライン化
2.庁内業務のデジタル化
全庁に存在する紙・FAX・Excelの非効率業務を改善するプラットフォームに
3.関係機関との情報共有化
他部門や関係機関とのスムーズな情報共有を実現
参考:サイボウズと北九州市、 全庁的なDX推進に関する連携協定を締結
導入効果
令和3年10月に導入され、3年間で400を超えるシステムが開発・運用されました。その結果、年間で9万時間以上の業務時間削減効果が見込まれています。具体的には、次のような事例があります。
1.保健所における新型コロナウイルス陽性者の発生届処理
・ペーパレス化が進むことによる、用紙代や印刷代等のコストが約1,000万円削減
・応援職員を85名削減(約100名→約15名)
2.老朽空き家等除去補助現地判定
・年間の業務時間を157時間削減
3.住民税非課税世帯に対する臨時特別給付金事業
・2か月で1.2万件の電子申請を受け付け
・年間の業務時間を1,069時間削減
参考:職員一人ひとりがイノベーター DXで実現する未来の働き方
全庁での利用
令和3年の導入初期は、kintoneのライセンス数30のスモールスタートで開始されました。kintoneを利用するご担当者様のみにアカウントを配布していましたが、kintoneの利用を希望する職員様の増加にあわせて徐々にライセンス数を増やし、令和5年11月に全庁職員様へアカウントを配布しています。これにより、組織全体の効率化が期待されます。
参考:2400名のDX人材育成、北九州市が「全職員」にノーコードツール配布の狙い
ヘルプデスクによる支援
当社では、ヘルプデスクとして5名が北九州市様へ常駐し、次のような支援を行っています。
1.内製化支援 / システム開発
職員が内製するための技術的支援。緊急性の高い業務などは開発も実施。
2.効果検証と庁内広報
好事例を庁内イントラなどで共有するため、広報資料を作成。
3.職員様向け研修の開催
研修計画の策定支援およびハンズオン研修の開催。
4.基盤管理
kintone利用に関するルールの作成支援およびセキュリティ対策や障害対応。
ライセンスや開発されたシステムの管理。
他のシステムや外部ツールとの連携検証。
参考:DX人材の育成と独自体制で、業務改革を高速化する北九州市の挑戦
ご担当者様インタビュー
kintoneを導入してよかったと感じたことを教えてください。
髙塚さん 職員のアイデアが比較的容易に実現できることが、kintoneの強みだと感じています。kintone導入前は「こんなシステム作りたい」と相談を受けても、時間やお金の都合で実現できないものも多くありました。しかし、kintoneだとササっと作れるので、職員のアイデアが無駄になりません。現場の方から、「kintoneですごく便利になった、すごく楽になった」と言われたときは、嬉しく思います。
冨永さん kintoneは「ノーコードで誰でもシステムを開発できるもの」として全庁に展開しています。そのため、「今の業務フローをどう変えたらいいか」という業務見直しの動きがkintoneをきっかけに出てくるので、北九州市でのDX推進に大きく貢献してくれています。
苦労したことを教えてください 。
髙塚さん 何もないところから、新しいツールであるkintoneを導入するのは大変でした。ツールを導入するだけではDXは進みません。自分自身も、kintoneの参考書を4冊ほど読みましたが、通常業務と並行して取り組んでいたため、やらないといけないことが膨大にありました。新しいツールは、増やせば増やすほど管理が大変になりますが、kintoneのようなプラットフォームがあれば、一つのルールで様々な業務に適用できるので魅力的だと感じています。
冨永さん kintoneの担当になったときには全庁導入がされていましたが、はじめはkintoneについて何も分からない状態でした。他の業務がある中で、原課からの相談を受ける上で知っておかないといけないことも多く、苦労しました。また、全庁導入した今も、全員が使っているわけではないので、どうやって使ってもらうか、現在も試行錯誤しています。
kintone導入から3年が経ちますが、経験を踏まえて意識していることを教えてください。
髙塚さん 業務をそのままkintoneで行うのではなく、BPR(業務改革)と組み合わせて取り組むことを意識しています。担当だけでなく、上司も巻き込みながら進めてもらうことをお勧めしています。
冨永さん 原課の方からの相談の中には、手段(kintoneを使うこと)が目的になっているケースも多くあります。現在RPAも担当しており、ツールの向き/不向きを踏まえて、目的を達成するためのツール選定を意識するようにしています。
今後の展望を教えてください。
髙塚さん まだまだkintoneの潜在能力を生かし切れていないと感じています。連携サービスやプラグインの充実など、使い勝手がもっとよくなるように、整備していきたいです。 また、全庁職員が利用する「キラーアプリ」をどんどん増やしていきたいです。